11月もあっという間に下旬に差し掛かっっております。
大手の塾でも、新年長のクラスが始まりました。年中クラスから進級された方も、雰囲気が変わってピリッとしていることや、急にお友達の人数が増えていることに、緊張したのではないでしょうか?そして、お母様方は更にスタートラインに立った気持ち(期待なのか、恐怖なのか、とにかくドキドキする感覚)を味わっていることでしょう。
さて今回は、今年の年長さん(現年中)の学年について、少しお話しておきます。
幼稚園でも保育園でも、また幼児教室でも、長年勤めているとわかるのが、『学年のカラー』です。お子様が多いお母様は、その感覚がわかるかもしれませんね。
おっとりしている学年もあれば、猪突猛進の子ばかりが集まっている年もあり、周りに流されない「てんでんばらばら」な学年もあれば、誰かの一声に全員がすぐに影響されて乗っかっていく(良い意味でも悪い意味でも)ような学年もあります。
子ども達の生まれ年が同じなので、「それはそうでしょう」と思われるかもしれませんが、私たち指導者からしてみれば、お母様方の年齢が様々であり、同じ世代を生きているわけでもないのに、その学年のカラーに染まっていくのが、とても不思議に思うことです。
話が逸れましたが、私が感じている「今年の傾向」をお話しますと
新年長さんの特徴は「飛ばし過ぎ」です。お母様方が、かなり白熱しています。
実は、5~6年前にも、同じように感じた年がありました。
新しい学年が始まったばかりなのに、脅かすわけではないのですが、自分の学年の流れが、そういう年だということを承知しておいてもらいたいのです。
「飛ばし過ぎ」とは、「必要以上に焦って、先へ先へと進めている(進めようとしている)」ということです。5~6年前は、お子様が年少の学年の時から、年長に関することの問い合わせが多く、年中クラスに上がった途端にクラスが満席になるような年でした。
そういった場合、お母様方が、知らず知らずのうちに周りの雰囲気に流されて、子どもが置いてきぼりになるケースが多くみられます。
チックの子が多い、頻尿(お漏らし)が多い、母子分離ができず泣いている期間が長い、表情が硬い&暗い等の傾向が強くなります。その中でも、早生まれのお子さんへのプレッシャーは、大人が考えるよりも大きく、トラウマとなって、今後の成長の妨げになる場合も考えられますので、特に注意が必要です。
厄介なのは「情報」なのです。これは例年のことでもありますが、お母様方が勉強家でいらっしゃり、なんでも良くお調べになっています。そして、「情報」は正誤に関係なく、見聞きすることが容易い現代社会なのです。
なんと!「現代の日本人が一日に触れる情報量は、江戸時代の1年分」と言われています。情報に溢れかえっているからこそ、「迷う」そして「翻弄される」ことになります。
でも、ちょっと冷静になってみて下さい。お子さんが生まれ、赤ちゃんの時期をお育てになった時に、育児本を何冊も読んだり、ネットの検索をしたと思いますが、その本の通りになったでしょうか?育児本を読めば読むほど、ネットで検索すればするほど、不安が大きくなった経験はありませんか?
結局、それと同じです。正解は、人それぞれなのです。誰かの成功体験や失敗体験は、参考にはなりますが、何から何まで全く同じになることはあり得ません。ですから、情報に惑わされたり、周りの「飛ばし過ぎ」に巻き込まれずに、わが子をしっかりと観察して、その時期に最適な刺激を与えていくことを、丁寧にして欲しいのです。
ですが、5~6年前、私はお母様方に「焦らないで下さい」「冷静になって、子どもを観て」「先へ進むより、基礎を固める時期です」「今の結果が、本番の結果ではない」と、一年の間、言い続けましたが、それでも流れを止めることはできませんでした。また、学年全体がご自分達でレベルを上げてしまっているので、当然のことながら、本番のテストも、学校側が設定していた点数よりもハイレベルになってしまったという結果です。
ある程度は、学年の流れに身を任せ、把握しておくことは必要です。でも、その中で冷静にお子様の様子を見守り、余計なことにまで手を出さずに、必要なことを必要なだけコツコツと進めていくのが、この学年での受験を成功させるポイントと言えましょう。