「お行儀が悪いのです」
よく相談される悩み事の1つです。子ども達が座っている後ろでご父兄が見学するタイプのお教室では、否が応でも、他のお子さんと後ろ姿を比べて見てしまうので、無理もありません。
でも、自分に置き換えて考えてみて下さい。ずっと(授業中なので小1時間です)背筋を伸ばして、膝をくっつけて、手を膝にしているのは、辛くないですか? 幼児ならば尚更、今までやってこなかったのに急にできるわけがありません。そう!これは、慣れないとできないのです。良い姿勢を保つには、体力が必要です。背筋をピンと伸ばすことや、足をピッタリくっつける筋肉も必要です。そして、何よりも本人の意識が必要なのです。
お教室の中で、お行儀を意識させるのは、ご家庭で教えるよりも容易です。なぜなら、子ども達の「褒められたい」という欲求をくすぐることができるからです。「〇〇ちゃんは、背筋がピンとして素敵ですね」と褒めた瞬間に、全員の背筋が伸びます。(←ほんの一瞬ですけど) そして、自分も褒められようと頑張ります。それが意識するという感覚です。また、お行儀があまりにも悪いお友達を見て「あれは、かっこわるいな」と気付くこともあります。年長児は特に、親や先生よりも、お友達に言われたことがグサッと心にささったり、お友達の目を気にするようになる時期なので、短時間で姿勢が良くなることが多いです。
それでも中には、お友達が褒められていても叱られていても、全然気にしないタイプもいますので、そういう場合は、個人的に注意をしなければなりません。私のやり方ではありますが、ご家庭での指導の参考になればと思い、ご紹介します。
最初は具体的に、「姿勢が悪いと、どうしてかっこ悪いのか」をお子さんに理解し易いように注意します。例えば「足が開いていると、馬に乗っているみたいですよ、ぱっかぱっか」とか「背中が丸くなっていると、どんどん小さくなっちゃう・・・・背が伸びませんよ~」などと言葉掛けしていきます。 次の段階では、「あし」「せなか」と単語で注意すれば気付きます。 そして、最後は目力です。「目力」というと怖そうに感じますが、ただ黙って「じろじろ」見るだけです。目が合うと「何だろう?」と考え、数秒後に気付いて直します。
そのうちに、お子さんの方から熱い視線が送られてきます。「先生、ぼく(私)の姿勢を見て!」(「褒めて~」ということです)そこを見逃さずに褒めるのがポイントです。ここまでくれば、頑張って意識しなくてもお行儀良く座れる習慣が、ほぼ身に付いています。
とはいえ、実は、私も普段はだらーっとしています。足もついつい組んでしまいますし、椅子の上に正座をしてパソコンを打っていることも多々あります。また、猫背になりがち・・・・ですが、子どもの前に立つとスイッチが切り替わります。子どもの前にいる時は、自然と「先生」を演じているのです。
正しい姿勢は、脳の働きをよくすることがわかっています。姿勢が悪いと血管や神経が圧迫され、脳に送られる血流量が減りますので、脳に必要なエネルギーが不足します。・・・・と、酸素を取り入れようとして「欠伸」が出ますよね。 学習する時間、ぐっと集中させたいのだったら、先ずは「姿勢を整えること」が効果的だと思います。
さて、しかしやり方を間違わないようにして下さい。姿勢を良くすることを重視し過ぎて、お勉強の時に「紐で縛る」というお話、本当にやっている方が少なくありません。無意味です!すぐにやめて下さい(形状記憶の品物じゃないのですから、紐を解いたら戻りますよ~!と声を大にして言いたい) お食事やお勉強の時に、少しずつ姿勢に意識を向けられるようになれば、徐々に習慣化し、正しいポジションで座ることが一番気持ち良いと感じるようになります。そしてリラックスできる時間も作りましょう。
もちろん、お父様やお母様がお手本です。